Short stories-つもりん-

共通点

ここ数ヶ月、継続的に取り組んでいた案件が、ようやく一段落した。
久々に気がかりなことも、時間に追われることもない休日だ。
気付かない間に季節は夏の様子を呈していて、ギラギラと照りつける太陽に目を細め、陽が落ちるのを待って買い物に出かけることにした。

いつものセレクトショップへ向かい、物色しながら
何故なんだかふといつだったか読んだ本の一説が思い浮かんだ。

買い物と恋愛は、似ている。


『共通点』


「お、これカッコイーじゃん」
見た目は重要。
そこが好みじゃなければ興味すら持たない。 細身の体に色素の薄い髪や肌というハカナゲな風情に綺麗な顔、強気な瞳。うん、好み。

「あー。それね、日本のショップではウチが一番乗りなんですけど、もう現地の店舗では評判スゴク良いみたいで、買うなら今ですねー」
口コミも大事。
発信源がアノヒトにベタぼれの一人からの情報のみってのが本来なら信憑性に欠けるところだけど、「可愛い」という口コミは俺も実感済みだから良し。

「こうして見てるより着た方が、すっごいライン綺麗にでますよ」
買った後に、外見と中身が違うってのは困る。
ま、アノヒトの場合はそれが魅力だから、これもクリア。

「試着されます?」
そう試着できれば、一番いい。
お試し・・・させてくんねーよなぁ。

「んじゃちょっと着てみる」
問題はサ。
「津森さん、いかがですかー?」
「おー、いんじゃね」
試着したら、もう欲しくて手に入れたくて
「じゃーコレ頂戴」
まず間違いなく買ってしまうってとこだよな。
これ問題あるなぁ。だって売約済みだろ。買えねーじゃん。
売り切れてんなら店頭に並べんなって、服なら言えるんだけどさ。

まぁもし万が一手に入ったとしても
「なー、コレ家で洗濯できんの?」
「あー、手洗い・・・はしないでしょうから、クリーニング出して欲しいですね」
扱いづらいってのはどーよ?

「ばーか、こう見えて俺はマメだからね。気に入ってる服は大事にするぜ?」
残念ながら、手がかかるほど愛しさも増すってもんだ。


買い物しながら何考えてんだ。
自分の考えに苦笑しながら店を後にする。
「腹減ったなー」
夕食に、いつもの店に食べに行くか、それともアノヒトの家にでも襲撃してみるか。
しばし思案してから駅までの道を歩いた。

web拍手
  inserted by FC2 system