私立!妄想学園

きっかけ編


それまでも名前は知っていた。なんかの集まりとかで見たこともある。
俺の次と、そのまた次。
2位 宇佐見秋彦
3位 上條弘樹

2年になって、成績順のクラス替えがあり、自ずと同じクラスとなってわかった。
なんて面白い。
目で追って、表情が変わって。
生徒会の仕事で一緒になることがあっても、澄ましたヤツだと思っていた印象は変わった。
その頃からかな、何となく気になるようになった。


ある日の登校。
その二人と同じ電車に乗り合わせた。
電車にはウチの高校の生徒だけではなく、どっかよその公立高校の生徒もいて、宇佐見がその中の温和そうなメガネのヤツに話しかけた。
珍しく思って見ると、案の定その横にいた上條は傷ついたような笑顔をして、じゃぁ後で、と宇佐見に声をかけてその場を離れる。
ほら、こんなにわかりやすいのに。

くるり、と方向を変えた上條と一瞬目が合う。
「・・・・はよ」
それだけ口にして、気まずそうに目を逸らして窓の外を眺めている、フリをする上條。
「おー、オハヨー」
その窓に、笑いながら話す宇佐見の姿が映っているのを知っている。
扉にもたれて立っている俺。
俯きがちに窓を眺めている上條。
目を合わす訳でもない。
話すこともない。

俺たちの降りる駅名がアナウンスされる。
下車の準備をする周りのヤツらに混じって、ピクリとも動かない上條。
電車がホームに滑り込む。
「上條さー」
声をかけたのと同時に反対側の扉が開いた。
俺の声にハッと気付いたように顔を上げる
「な、なに」
周りが降りていっていることにそこでようやく気付いたように、自分も降りようとするのを、思わず声をかけてみた。

「乗り越さねぇ?」

自分でもなんでそんなこと言ったのか分からないけど。
ぴくり、と上條の肩が揺れる。
「はぁ?な、何言ってんの」
驚いたようにそう返しながら、でもその脚はそれ以上動かず。

ぷしゅん

俺たちを残したまま、ドアが閉まった。

<続く>

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