私立!妄想学園

食後のデザート編(急)

「なんもごまかしてねぇよ。単に待てないだけ」

そう言ってそのまま目の縁に舌を這わせられる。
「・・・っ」
ぞくりと背を駆け上がる、この感覚を知っている。快感の予感、あるいは期待と、恐怖とがないまぜになって弘樹の体をこわばらせる。
弘樹を柔らかく抱き込んだまま側の布団に押し倒し、また髪を梳き、口付けながら弘樹の体から力が抜けるのを待つ。
「上條・・・怖い方がおっきい?きもちーより」
弘樹の肩口に顔を埋めて津森が聞いた。
いつも自信たっぷりな態度のくせに、こんな時は弘樹の顔を見ない。
あぁ、コイツも不安なんだ、と思うと弘樹は心がやんわりとほぐれるのを感じて暖かい溜息が漏れる。
もちろんまだ怖いのが大きい。
けれどその先に快感があるのも知った。
そしてそれ以上に愛しさがとめどなく溢れることを、伝えたいと思う。
けれどもそれは言葉には出せそうになくて、代わりに津森の襟元を引き寄せてその胸元に顔を埋めた。

津森の弘樹をかき抱く腕に力がこもり、ぐいと強く抱きしめてからそっと弛め至近距離で見つめ合う。
いつもは恥ずかしさから目をそらしそうになる弘樹だが、今日は津森の濡れた視線から目が離せない。
視線が絡んで、心臓がずくずくとはやるのを感じる。それは津森も同様だった。
弘樹が瞼を閉じる。まつげが絡むような距離。それを合図にして噛み付くように口付けられる。

貪るように口付けながら、津森の長い指が頤から首筋をたどりパジャマの襟元から鎖骨をひと撫でしてプチプチとボタンを外してゆく。
扇風機の風とエアコンでひんやりと冷えた肌がさらりと触れるのが気持ち良い。
そしてそれがだんだんと熱を持ってくるのをお互いに感じてはぁはぁと息をあげる。
パジャマの胸元から滑り込まされた手が弘樹の平坦な胸でそこだけぷつりと尖った蕾に触れ、カリと引っ掻く。
「ん・・・ぅ、あ、や・・・だ、つもりっ」
「やなの?」
上がった息の間から弘樹が切れ切れに答える。
「だ、って、こえ・・・っ」
「じゃぁキスでずっと塞いでようか?」
何度も深く口付けたせいで、ぽてりと赤く腫れた弘樹の唇をうっとりとなぞる。
「な、何言って・・・!オマエは俺を殺す気か?!そうか、そうなんだな?!」
照れ隠しもあって、じたばたと暴れる弘樹の髪をぐしゃぐしゃとかき混ぜて
「あー、それもいいかも」
と破顔した。
「で、どーする?する?やめる?」
弘樹に選ばせるような余裕なことを言いながら、でも自身の熱く兆している部分をぐいと腰を寄せることで弘樹に伝える。
「!!・・・なんかアタってますケド・・・」
弘樹が少し体を硬くすると
「そー。俺のほうが、死にそうなの」
そう言いながら甘えるように頬擦りして
「シよー?」
耳元で囁いて再度誘う。甘い囁きは弘樹の耳から直接体に流れ込み、末端まで痺れが走るような感覚を覚えた。
(でっかい図体とでっかい態度してるくせに!か、カワイイとかってナンなんだ!なんなんだよ!)
「アホボケ津森っ」
心の中でも口に出しても罵倒しながら、でも実際弘樹は津森の背に腕を回してぎゅぅ、と力を込めたのだった。


「んっ・・・ふ、ぅ」
くぐもった声が漏れる。血が流れるのがじゃんじゃんとうるさいほど聞こえる。
自分は一体どうしてしまったというのだろう。
裸なんて、例えば水泳の授業だとかで普通に自然と見たり見られたりするわけで、そもそも男同士なんだしなんだってないはずなのに、津森のこの熱っぽい目で見られていると思うとどんどん体温が上がっていくのが分かる。
弘樹に触れてくる津森の手も、つい先ほどまではクーラーで冷えてさらりとしていたのに、今は体温が上昇したと思う自分よりもさらにアツイ。
見つめる視線でほどけて、触れる肌で溶けて、とろりとしてくる。何も考えられなくなっていくのだけど、それがどうしようもなく気持ちよく、抗う気力がわいてこない。
(抱き合うって、気持ちいいな・・・)
「上條・・・」
熱い吐息のように名前を呼ばれる。
「ぅん」
弘樹も吐息のような返事を返す。とろみのある暖かい気持ちが満ちてきて、溢れた分が雫となって弘樹の瞳から零れた。
「何で泣いてんの」
涙の流れた跡をそっと指で拭いながら津森が問うけれど、弘樹のほうでも何故なのかが分からない。
「・・・しらねー」
弘樹の目じりに残った涙を吸う。同じようにじんわりと津森の内部も満ちてくる。
「コッチも零れてる」
津森の骨張った手が、弘樹の熱を握り込む。
「っあ!」
先からとろりと流れ落ちたぬめりを弘樹自身に塗り付けるようにして、そして奥にも塗り込める。ビクリと弘樹の体が跳ね、一瞬不安そうに瞳が揺れるとぎゅ、と固く目をつぶった。
「怖ぇ?」
「・・・」
ふる、と首を振るものの、怖がっているのは明らかだ。唇を引き結んで奥歯を固く噛み締めている。奥の縁をやわやわとなぞりながら
「だいじょーぶ、痛くしねぇから。力抜いて」
弘樹の耳に直接吹き込んで、耳朶を甘噛みする。首筋に沿ってそのまま舐め下ろし、そっと鎖骨をなぞってから胸の突起を口に含み舌先で優しく転がす。
「ゃ・・・んっ」
か細い喘ぎ声とともに、ふと弘樹の体から力が抜けた。と同時にくぷりと指先を滑り込ませた。
「ひぁ・・・ア」
固く閉じた目が見開かれる。
「よしよし、だいじょぶだってー」
宥めるように頬に口付けを落としながら指を奥まで進ませてゆく。
異物を追い出したいのか、それとも引き入れたいのか。蠢く弘樹のナカを味わうようにぐるりとかき混ぜる。
くちゅりと断続的な水音が自分のそこから聞こえることが、余計に弘樹の羞恥を煽る。
「ぁ、ア・・・やぁ・・・!」
弘樹の口から漏れる嬌声をうっとりと聞きながら、ナカに挿れた指をある一点で引っ掻くように曲げ、捏ねる。
「ココ・・・気持ちーよな?」
「んんんっ」
びくびくと弘樹の体が痙攣する。達しそうになるのを、根元を戒めることで止める。
「今日はもうちょい我慢なー」
もはや泣きじゃくるような弘樹をキスや愛撫で宥めながら入れる指の本数を増やし、慣らしてゆく。
そうして3本受け入れられるようになった頃にずるりと抜く。その頃にはナカもどろどろに熱くとろけ、指を引き止めるかのように蠢いて、津森の気を逸らせる。
はぁはぁと荒く息を吐きながら、内心らしくねぇな、などと思うが、そんな自分も悪くないと思っていた。
随分と柔らかくなってヒクつく弘樹のソコに滾る自身をあてがう。
「!」
ひゅ、と弘樹が息をのんだので、安心させるように、ちゅ、と軽く口付けて
「噛んでいーよ」
口のナカに指を入れ、先ほどまで後ろにしていたように口内を弄りながら体を進ませた。
その衝撃に弘樹はギリと津森の指を噛む。
「・・・っつ、ほら、もうちょい・・・」
深く折り曲げた弘樹の膝に口付け最後まで押し込む。
「っふ、はー、ぴったり、ってカンジ・・・」
しばらくそうして動かずに弘樹のナカを味わう。動かなくてもお互いの鼓動だとか、熱だとか、蠢動するナカだとか、そういったもので十分溶け合える気がしたのだった。



「ど、どーすんだよ、コレっっ!」
お互いの汗やらアレやらでぐしゃぐしゃになったパジャマ・浴衣・シーツ。それらを抱えるようにして弘樹は真っ赤になって怒っていた。
「もっかい風呂入ろーぜ。一緒に」
ゴロゴロと満足そうに布団で寝転びながらのんきに津森が答える。
「そんなこと言ってんじゃねんだよ!こ、これ洗濯・・・っ」
「クーラー入れずに寝たから汗かいたって言えばいーじゃん。てか風呂入ってる間に洗濯機まわそうぜ」
津森の意見に全面的に賛成した訳ではないのだが、それ以外に方法も思い当たらないので、よろける体を支えられつつ風呂場に向かったのだった。
「風呂でもヤりたいなー。オマエんちの広いしー」
怒っているのか照れているのか。(間違いなく後者なんだけど)赤くなってむっつりと下を向いている弘樹の耳元でからかうように言うと、
「アホ!ボケ!津森!!」
今度こそ罵声とともに猫パンチが飛んで来たのだった。

翌朝、めずらしく既に洗ってある洗濯物を見て不思議に思った母親の問いかけに、弘樹はしどろもどろで、津森はしれっとかわした、というのはまた別のお話。


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