私立!妄想学園

食後のデザート編(破)

部屋に戻ると津森は猫のように目を細めて扇風機の風にあたっていた。
「クーラー入れようぜ」
弘樹が窓を閉めようと近付くと、机に置かれたトレイに気が付く。
麦茶と、スイカ。
「お前のお母さんがさっき持ってきてくれた。食えって」
「歯磨きしたのに・・・」
文句を言いながらもうれしそうな弘樹の顔を見て、津森も小さく笑う。
カラリと窓を閉め、並んでスイカを食べる。
「畳で浴衣でスイカ。これで蚊取り線香でもあれば完璧だよな」
「ぷ、なんの完璧だよ」

しゃくしゃくとスイカを齧りながら、しばらくとりとめのない話をしていると、
「仲いいよなー、オマエんち」
津森がぽつりと漏らす。
「そうか?んー、母親があんなだからな。いつまでもヒロちゃん言うし」
弘樹が頬を膨らませて不服そうに言うと、津森はぷっと吹き出す。
「あー、はいはい、ヒロちゃんはママが大好きだよねぇ」
ははは、と笑いながら津森が茶化すので、この流れで聞いてしまえるだろうか、と思って弘樹がそろりと口に出す。
「お前のとこは・・・?」
津森の口から家族のことを聞いたことがない。鍋を食べたことがないとか、弘樹の母親が何かと世話を焼くのをくすぐったそうにするのとか。なんとなく察するものはあるけれども、これでは触れていい話題なのかどうかもわからない。
「・・・」
津森は話題をふってしまったのは自分なので、少ししまったなぁとでも言うような表情をして、黙って弘樹に手を伸ばし、そっと唇の端に触れる。
「種ついてる」
弘樹の唇の端についた種をつまんでポイと空のトレイに放ると、そのまま弘樹に口付けた。片手で弘樹の腰を抱き寄せ、片手でトレイをどかす。
「んぅ・・・っ」
どん、と津森の胸を叩いて抗議するが、すぐにその手は縋るように浴衣の襟元をつかんだ。まるでスイカの甘みを味わうように舌を吸い上げられ、じわ、と体の奥が甘く震える。
ひとしきり弘樹の口内を味わって、二人分の唾液をごくりと飲み下してから津森が唇を離す。
開いた弘樹の唇の端から飲み下せなかった唾液がとろりと零れ、それをまた舌先でぺろりと舐めとると、弘樹が今度こそ真っ赤になって津森を押しかえす。
「バカっ、何だよ、またそーやってうやむやにしようとして・・・っ」
涙目で訴えると、今度はあやすように目尻に口付けられる。

「なんもごまかしてねぇよ。単に待てないだけ」


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