「DIVERT!」サンプル

いつものようにつもりん中心。でもカップリングはのわヒロな航空会社パラレル本。
A5 フルカラー表紙 60ページ 
表紙:中嶋めら 様
先着順で新刊セットプレゼント
・キャプテンつもりんマグネットプレゼント(イラスト:実礼様)
・ポストカード(イラスト:中嶋めら様)
・番外編SS(カコ様&イラスト:中嶋めら様)


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物心ついたときから飛行機が大好きだった。
それは鳥のように翼を持ち自由に飛び立つことの出来るものへの憧れなのか、あるいはこんな鉄の塊がどうして空を飛ぶのかと言う探究心からなのか、今となってはもう忘れた。
それでもこの仕事に就いて、飛行機が滑走路へ出ていくのをスタッフ全員で手を振って見送る、この儀式が大好きだ。
一直線の滑走路にゆっくりと滑り出し、やがて轟音をあげて走りはじめてふわりと機体が浮く。
その様子を見ると子供の頃と同じように胸がはやる。 そしてキラリと光る粒のようになるまで見送ってしまうんだ。

なりたて航空整備士 野分。


自分がサービス業に向いているなんて思ったことはない。まさかその最高峰ともいえるこの仕事に就くだなんて考えてもいなかった。現職の今だって、馴染んでいるとは到底思えない。
けれど一人っ子で、学校もエスカレーター式に高校まで持ち上がり。大学時代は研究室に入り浸りなんていう限られた社会で生活してきた俺にとって、チームで仕事をする充実感や日々変わる職場状況はいつまでも新鮮で、やりがいも感じている。
この仕事を選ぶきっかけはなんだったろう。
あぁ、そうだ。
ガキの頃向かいに越してきたアイツの、イギリスの話を聞いて行ってみたいと思ったことが原点かもしれないな。
本が大好きでその物語の世界にこの身を遊ばせることが好きな子供だった。子供だったから空想の中でしか行けなかったあらゆる世界に、実際に飛んで行ける。
だからこの仕事を選んだな。

客室乗務員チーフ 弘樹。


バカと煙は高いところが好きって言うから、俺は馬鹿だったのかも知れない。
高いところが好きだった。と言うか、空に近く、もっと近くに行きたいとそう思っていた。
きっかけとなったと思われる出来事のことを覚えている。ただ、それが何であれ、高いところへ行きたい俺が目指したのは雲の上の職業、パイロットで。
まぁなりたいと思ってなれる訳じゃないこの職業に、本当になれたあたり、さすがは俺と言っておこう。
一番高く、一番前の空の特等席。
身体がふわりと浮き、空を切り裂く高揚感を愛して止まない。

国際線パイロット 津森。

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毛足の長い絨毯は足音をさせない。それが余計に俺に罪悪感を感じさせなかった。
部屋に荷物を取りに行くだけだ。言い訳してみる。
一体誰に対する言い訳で、何に対する罪悪感だ。
これは試すだけだ。俺の気持ちを。
自嘲したところで

 パタリ

やけにゆっくりと部屋のドアが閉まった。


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